なぜTKCを取り入れている方の黒字率が高いか?

 飯塚先生の持ち込んだシステムのうち最も重要な物は、フィールド・オーディット、つまり「巡回監査」というものです。この言葉は飯塚先生が作ったそうです。この巡回監査という古い言葉のもつ意味が中小企業の骨組みにじわりじわりと深く利いていくという事に、飯塚先生は当初から気づいておられたのです。そしてこれがどれほど難しいか。これを税理士というお客様よりの立場の人間が心を鬼にしてお客様に苦言を申し述べる自己矛盾と戦い、会計帳簿の信頼性を担保として銀行から信用され、お客様の黒字率を上げていく。そしてその担保された会計帳簿の信頼性を前提として正しく税務行政が行われているかどうかのチェックを税理士は現場でやれと。つまり税理士業務(私見ですが、憲法30条の適正な運用を監視する事)をやるならここまでやらなきゃ意味ないよ!と言って「巡回監査」という技法を取り入れました。

 さて、「月次の決算が基本です。」なんて事は、簿記(経営)のイロハですが、「どうやったら月次決算ができるか」「会計事務所がどうやったら月次巡回監査を100パーセントこなせるか」ということを飯塚先生ほど考えた人はいません。それが証拠に一般の会計事務所で特に関与先が望まなければ、毎月の試算表は出てこないと思います。それからその一つ一つの数字に対する根性の入れ方が全く違うということを言っておかなければなりません。

TKC会計ソフトは遡及(さかのぼって)訂正ができない

 これが、考え抜いた飯塚先生がTKC巡回監査に仕込んだ絶対に解体できない会計爆弾なのです。

 一般の会計ソフトは遡及訂正できます。例えば一年分のどこそこの会社に対する売上をまとめて訂正するなんてことが、二秒でできます。これは会計ソフトの性能向上でどんどん機能が向上していきました。これに対して飯塚先生は真っ向から対決しました。

TKC vs その他の会計ソフト
 飯塚先生の言い分は、「いつでも訂正できるソフト等は全く証拠として機能しない。」という法律論から導かれた理由ですが、本当の理由は違うと思います。これはやった人間でないとわかりません。飯塚先生の言いたかったのは多分「後で訂正できないと解っていながら月次決算を完成させることが、どれだけ根性がいるかを思い知れ。思い知ったらその簡易なソフトではできない。」と言うことだったと思います。

「あーいいのいいの。いつでも訂正できるんだから。」という環境では、「試算表ったってどこか間違ってるんでしょ」「どうせ今回作っても、これは完成品ではない。また数字が変わるんだから。あーだからここに書いてある利益を信じないでね。あくまで仮だから。」という事になります。この文化では会社は衰退します。もし滅ばなければ、それはバブルなのでしょう。

 つまり会計事務所はもちろんのこと、関与先企業にも月次決算のレベルの高さを無言のうちに強制したと言う意味で、この爆弾は恐ろしく機能しました。だからTKCの試算表の数字の一つ一つの根性が違うのです。巡回監査の側から企業の会計記録の整備を無理やり迫ったわけです。言い換えればTKC会計ソフトを使おうとすると、後回しができない。日々判断を迫られる。そういう文化を無理やり作らされるわけです。

 私は日本にある280万社と言われる中小企業の全てが全てTKCの会計ソフトを使ったら倒産件数を一気に減らせると思うのです。

 なぜなら例えば学校の通信簿を考えてください。例えば人間ドックの結果表を見てください。これらは子供が悪い子になるために作るのですか?早く病気になるために作るのですか?そんな事はないですよね。

 イタリア人数学者のルカ・パチョーリの作った複式簿記は会社への報告の為にあるわけです。

 つまり簿記は企業を健康にするためにあるのです。

 巡回監査とは毎月お客様の会計帳簿・証憑書類・現物の三つの関係が正しいかどうかをチェックすることです。間違っていれば直してもらうということです。

 会計事務所とお客様との間に飯塚先生の作ったTKCシステムが組み込まれているという意味が少しおわかりいただけましたか?