なぜ会計ソフトにこだわるのかU
以下に一般的な会計事務所の決算の仕上げ方を書いておきます。ご興味があればご覧下さい。
@ まず、会計事務所は帳簿が書けない顧問先の当座預金照合表と小切手の耳で当座預金勘定を入力して残高を合わせる
A 普通預金通帳から普通預金を入力して残高を合わせる
B 支払手形帳から仕入を入力そして支払手形残高を合わせる
C 受取手形帳から売上、売掛金を入力そして受取手形残高を合わせる
D 領収書綴りから、経費を入力する
E 領収書綴りから現金売上を入力
F 期末支払請求書から仕入と買掛金を入力
G 期末売上請求書から売掛金と売上を入力
H 減価償却費を入力
I 棚卸資産を入力
<現金残を確認>
そして恐る恐る現金残を確認!(適当に10万円程度だったらいいけれど、たいてい大きくプラス又はマイナスになる。現金が期末に何百万円とあることは少ないですからね?
ここで社長が登場します。
税理士 「会社に現金が○○百万円もあるわけないよねー?どうしてこうなるの?」
社長 「会社にある現金はせいぜい5万円だよ」
・・・??????・・・
そうすると、今のパソコンソフトは便利だから、毎月の計算上の現金残が出ます。特に増加した月を捜して税理士がさらに聞きます。
税理士 「○月ごろに△△百万円くらい現金が増えてるけれども何か売ってない?」
社長 「わからないなー・・・」
結局、現金がプラスだと社長貸付金(この時に利息を否認されないように年率数%の受取り利息を計上する・・・このくらいのことはやる・・・)、マイナスだと社長借入金で現金残を常識的な金額にするまたは、役員報酬を遡って値上げ、などが行われる。(これは役員報酬は株主総会の決議によるという会社法361条違反)
<利益確認>
またまた恐る恐る利益を見る(適当な利益が出ていれば良いが、なかなかそうはいかない。)
税理士 「何で今年はこんなに利益が出ているんだろ?」
社長 「利益分の現金なんてどこにもないよ?」
結局請求書のもれはないか、在庫は、どうかなどとドタバタやっている。申告期限はもう明日なんてざら。ここからが正念場だと思っている。
ここで強力な武器となるのが、納期の特例を悪用した役員報酬の遡った訂正。(上記の361条違反)源泉所得税まで訂正し終わって、利益操作。
<税が安ければ全てよし・・・税より怖いんだけどな〜借入金は>
とにかく(社長や、会社等のグループで、)税金を払わないで済めばそれで良し。(相当の脱税決算が行われているときは、税務調査が来にくいようにわざと赤字にしたりする)
ここで笑ってしまうのが、決算でどこをいじったかを忘れてしまうこと。なんせ決算書を提出するのにアップアップしている会計事務所は来月も他社で同じ事をしますから・・・大変ですよ。大変な割に意味がないのですが・・・。あまりにも(税務署や、銀行さんにわからないように、コンピューター上で)いろいろいじるものだから、あとでもとにもどせなくなってそのまま翌期の決算に突入すること。(もとにもどせたところで、もともと意味のない数字だからありがたくもないが)こうなると、もう期間損益の計算は不可能となり、複式簿記による。利益の担保もなくなる。
自分の会社が儲かっているのか答えられるのか? それで会計事務所に電話して「先生、うちの会社は儲かっているのでしょうか」って聞いたら、先生が「決算書を見ろ」という。(そのころ先生は別の決算で忙しい)
先生は簿記がわかっているから、この決算書がどのように作られたかを知ればうかうか答えられるわけがない。
この会社だって、当初は会社の決算をして利益を見てなんていっていたのが、いつのまにか目的が、税務署の添付書類の作成になってしまったわけですね。
うちの試算表・決算書は違いますよ。「当期利益を見てください。」で終わりですから。賞与みたいに考えられる費用は引き当ててますからね!
<試算表問題>
もっと問題なのが、試算表の作成です。ほとんどの企業が月次の試算表を作成していない。又、作成していても発生主義による決算をしていない(売掛金・買掛金・棚卸資産・減価償却・賞与・貸倒)。
たいてい銀行に融資を申し込むときに「試算表を」と言われるので、仕方なしに先生に「試算表作ってくれ」というと、「書類そろえて持ってきなさい」という。いったい何もっていけば良いの。だいいち仕事に使っている書類もっていかれて迷惑なんだけれど。それで先生に「融資を受けるんで試算表が必要だ」なんていって作らせるものだから、そりゃ先生は、全精力をあげて「直近何ヶ月は黒字」の試算表を作成する。
それで融資が終われば、全部元にもどす。すぐ決算がくるときは、「銀行が不信に思うから、この辺は戻さないでおこう」とかいっていかにも仕事したような気になる。
<終わりに>
私はこういうことに飽きたんですね。
我々は泣きながら勉強してきてその結果得られる仕事がこれとは悔しいわけです。
その結果 赤字会社が七割のこの時代に同じ事を同じ手法で関与先にあたっていては赤字の手助けをしているだけになります。我々の仕事がお客様からお金を頂いているのに赤字幇助では悲しいです。
例えば利益一つとってみても 会社の利益はその一年間に会社がやってきたことが良かったのか悪かったのかその判断基準となるわけです。ですから正確な利益は価値があります。我々は正確な利益を提示することがコンサルタントとなるわけです。
簿記の構造から考えると、現金残高が合わないということは、他の処理がどれだけ正しくてももう正確な利益は出ないわけです。
例えば学校の通信簿を考えてください。
例えば人間ドックの結果表を見てください。
これらは子供が悪い子になるために作るのですか? 早く病気になるために作るのですか? そんな事はないですよね。
イタリア人数学者のルカ・パチョーリの作った複式簿記は会社への報告の為にあるわけです。
つまり簿記は企業を健康にするためにあるのです。