なぜ会計ソフトにこだわるのか
TKC会計についてはTKCホームページでご覧いただけますが、実際に利用している者としてTKC会計とその他の会計の根本的な違いを説明させていただきます。 会計事務所は様々な会計ソフトを駆使して決算書を作っていくわけですが、大きく分けてTKCソフトとそれ以外のソフトに分かれます。 その大きな特徴が次のようになります。
| TKC | それ以外 | |
| 仕訳の遡及訂正 | × | ○ |
| データの社外備蓄 | ○ | × |
| 同業他社とのデータ比較 | ○ | × |
| 会計帳簿との関係 | ○ | × |
| 職員研修制度 | ○ | × |
結果としてTKCのソフトは、
・スピーディーに毎月試算表を作成するには使い易い。
・年一で決算をやるには使いにくい。
遡及訂正とは後で訂正すること
決算時に利益操作のために、主に過去に遡って役員報酬を増加又は減少させたりすることを言います。
会計事務所の多くはこの辺の書類の作成や、少額の赤字を出したり少額の黒字を出したりまた、税務調査は来にくいのだけれども、銀行の融資は受けられるような「落としどころ」を調整するのが会計事務所の仕事と思っている人が多いと思われます。TKC会員がある一定以上増えないのは、この遡及訂正ができないところが大きいです。
私もTKC入会当時、当然この点は悩みました。しかし当時私はこう考えました。「一社だけやってみよう。やって不都合なら止めればいい。60歳になったときにTKCに入っておけば良かったなと思うのは止めよう。」と思いました。結果としてこの選択は大成功になったものですからもう少し私の話を聞いてください。
まず12月決算の法人に事情を話してTKCのソフトを使い始めました。なにせあとで訂正が出来ないものですから、一ヶ月が真剣です。
ここでわかったのですが、人間どこか自分に甘いですから、いつでも訂正できるということが解っていては、「あとで」「あとで」となかなか仕事が完成しません。また、毎月の試算表作成後でも訂正できるものですから、お客様のところの試算表と事務所の試算表のどちらが最新なのか余計な苦労が発生してきます。
ダンボール会計
年一回決算でダンボールで会計事務所に会計帳簿を送ってくるものをいっていますが、TKCのソフトはこの「ダンボール会計」に全く不向きだということもわかりました。要するにTKC会計は毎月お客様の会計帳簿をチェックして毎月試算表を作成するには非常に使いやすいソフトだということです。
結果として一社で始めたTKC会計でしたが、6ヵ月経った時に全社導入を決めました(実際には法人が決算を迎えるたびに導入していきました)。このときにお客様には色々な要求をしました。「会計帳簿を書いてくれ(当時、私は領収書からいきなり決算書を作っているところもありました。)」「会計帳簿を統一してくれ」「毎月行かせてくれ」「翌月までに資料を揃えてくれ」「脱税はしないでくれ」「使ったものは正直に書いてくれ」などいろいろです。正直言ってお客さんは半分になっちゃうだろうと覚悟していました。ところが一社もなくなりませんでした。逆に「何で今まで帳簿書かなくてよかったの?」「おかしいと思ってたんだよ」といわれました。私のほうがお客様を固定観念で見ていたのですね。
会計帳簿・職員研修
そもそも、アメリカやドイツでは毎月会計帳簿をチェックして毎月試算表を提出することをフィールド・オーディットといい、その顧問料金はとてつもなく高額となっております。多数の中小企業が存在する日本としては、独自にそのフィールド・オーディットを発達させる必要がありました。そこで、会計帳簿・職員研修の制度がTKCで生まれました。要するに無駄なことをしている時間がないわけです。
まず、このフィールド・オーディット(TKCでは巡回監査と言っています)を効率よくこなすため、TKCのソフトが使いやすいように会計帳簿が開発されました。
また巡回監査や会計・税務の知識も含め合同で研修をする研修制度が備えられました。これらも全て効率よく巡回監査を行うために行われています。
ここで本題のTKC会計の本質ですが、TKC会計は会計ソフトだけではないと申し上げておきます。「会計ソフト」、「研修制度」、「会計用品」全てがTKC会計なのであって、他社のソフトでこれをやっているところはない、ということです。なぜなら最終目的が決算書の作成なのであれば、毎月試算表などいらないわけです。
翌月巡回監査率
現在、私どもの事務所の関与先の翌月巡回監査率(翌月に試算表をお届けしている率)が92パーセント 黒字率が62.5パーセントです。これは決して翌月試算表をお客様にもっていけば黒字になるということを公言しているわけではありません。しかし数字は物語っています。
もうひとつ情報として付け加えるならば、私どもの事務所にも毎月決算はいやだといって「ダンボール会計」をしているところが2社あります。この2社がそろって赤字だということです。赤字とは平たく言うと期首の現金よりも期末の現金のほうが少ないことをいいます。
土地が少しでも値上がりしていた時代は良かったです。引退する時に昔買った土地を売れば借金が返せて少々の退職金ももらえましたから。今はどうでしょう。土地の値上がりがないのですから、本業の赤字は本物の赤字です。逆に土地など持っていたら、土地が値下がりした分だけ利益を出しておかなければなりません。
何の科学的根拠もありませんが、毎月試算表を作れば会社は黒字になると信じています。それは社長の心の軌道修正に試算表が役立つからです。
TKC会計は年一回の決算書より年12回の試算表に力を入れているといえます。 今でもだいたい毎月一社、新規の法人とお付合いさせていただいています。過去毎月試算表が出ていやだといわれたことはありません。むしろなぜこれまで試算表がなかったのかという疑問をいわれます。これに対しては、理念から文化が会計ソフト、その他のものまでしみこんでおり、一朝一夕にできるものではないとお答えしております。「ダンボール会計」をしている会社はなぜかそろって「元会計事務所出身者」が経理担当者なのです。非常に不幸なことだなと思います。